世界3位が“凱旋”です。12月6日からインドのバンガロールで行われたバレーボールの世界クラブ選手権。日本のチームとして男女を通じて初めての快挙となる銅メダルを獲得したサントリーサンバーズが18日、地元・箕面市で報告会を行いました。

 2021-22シーズンのVリーグチャンピオンとして5月のアジアクラブ選手権に臨んだサンバーズは、激戦を勝ち抜いてアジアを制覇。ヨーロッパや南米から世界のトップチームが顔をそろえたこの大会では、予選ラウンドを見事1位で突破。準決勝こそ、フルセットの大熱戦の末、イタンベ ミナス(ブラジル)に敗れたものの、翌日の3位決定戦ではハルクバンク スポーツクラブ(トルコ)相手に2セットビハインドの展開から粘り強く戦って3セットを連取。前日の悔しい敗戦から立ち直って、見事、逆転で銅メダルを手にしました。

 世界のスーパースターが数多く在籍する強豪を相手に世界3位という結果が残せたことついて、チームを率いる山村宏太監督は「サントリーサンバーズのバレーが世界に通用すると自信を持つことができた大会だった。反面、優勝したペルージャ(イタリア)とは圧倒的な力の差を痛感させられた」と述べ、日本のクラブとして自信を深めるとともに、世界のトップとの距離については正直な思いを打ち明けました。そして、「世界との戦いを知る存在として(日本代表でも活躍した)小野寺選手の存在が大きかった。苦しい場面でチームに落ち着きを与えてくれた」と、今シーズンからサンバーズに加わった日本代表ミドルブロッカーの貢献を称えました。

 この秋、世界の代表チームを次々と下して、パリオリンピックの出場権を獲得した日本代表でも結果を残した小野寺太志選手は「代表での経験を期待されての(サンバーズへの)加入だと思う。そういう意味では、メダルをとれたことはとてもうれしい。代表で結果を残してきたからこそ、この大会も自信をもって戦うことができた。日本代表が世界で結果を残したということは、日本バレーのレベルが上がったことだと思う」と、日本の男子バレーボール全体がレベルアップしていることを訴えました。

 また、キャプテンそしてチームの司令塔としても銅メダル獲得に大きく貢献した大宅真樹選手は「僕自身としてもチームとしても(世界のトップチームと戦う)初めての経験の中で、しっかりと自分たちのバレーボールを見せながら、結果もついてきて、自信を深めることができた。日本のバレーは代表だけでないという思いを、結果として証明するができてよかった」と、強い思いで大会に臨んだ心境を打ち明けました。

 来シーズンから「SVリーグ」として生まれ変わろうとしているVリーグ。2030年には世界一のリーグになることを目指すと標榜するこのリーグに、サントリーサンバーズをはじめ、現在V1に所属する男女のすべてのチームが参入に名乗りを上げています(現在、V1チームを含む男子14チーム、女子15チームが参加ライセンスを申請)。「我々の銅メダル獲得によって、世界に通用するという意味では1つの基準を作ることができた。当然、他のクラブにとってもこの世界クラブ選手権での活躍が目標に加わってくると思う」と話した山村監督。「もう一度世界と戦うためにも、まずはVリーグのタイトル奪還。Vリーグチャンピオンとなって世界一を目指したい」と、この週末から再開するVリーグに向けて新たな決意を示しました。

 世界と直結することで、ますます激しくなるVリーグのタイトル争い。ただ、これまで日本クラブが世界で結果を残すうえで支障となってきたのが、アジアクラブ選手権が代表活動と時期的に重なってきたこと。日本のクラブがアジアを勝ち抜くのが難しかった背景もある。Vリーグから生まれ変わろうとするSVリーグ。日本バレー全体の強化や活性化は勿論、JVA(日本バレーボール協会)とも協調しながら、日本のバレーボールクラブが本当の意味での世界一を目指す道筋を作ることができるのか。今シーズンのVリーグ、そして来季以降のSVリーグに注目していきたい。


(MBSスポーツ解説委員 宮前 徳弘)