衆議院3階にある日本維新の会の控室。広さは60平米(平方メートル)ほどで、お世辞にも広くなく、記者会見では隣の記者が気になるほどの距離だ。控室は本会議や委員会に出席する国会議員が待機し、会合が行われるほか、職員が事務作業をするなど様々な用途があるのだが、選挙の勝ち負けによって、その広さや場所が大きく変化する。今回の総選挙で、議席数が11から41へと大きく躍進を果たした維新は、水面下の“控室争奪戦”でも「存在感」を示していた。
議員1人あたりの「割当面積」は決まっている
衆議院の控室は所属する会派の規模によって割り当てられる。基本は、衆議院の総面積・約2488平米を総議員数465人で割った数で、1人あたり「5.35平米」になる。この数に所属議員の数をかければ、その会派に割り当てられる基本面積が算出される。つまり多くの議員を抱える会派は、当然控室の面積も広くなり、やはりここでも『数の論理』がすべてを左右するというわけだ。
単純計算をすると、維新の割当面積は11人=58.9平米から41人=219.4平米と3倍以上に増えることになる。問題はどこの場所を控室にするかで、当然これは他の会派との協議が必要となり、場所によっては「基本面積」より広かったり、狭かったりする。維新が控室として狙っていたのは、かつて使用していた場所だという。
国会の見取り図を見ると...
議員控室は、衆議院の本会議場を取り巻くようにして配置されており、2階と3階に集中している。本会議場にすぐ出入りできる2階は大きな会派に割り当てられていて、例えば自民党は2階の東側と3階の東側に控室が配置されている。立憲民主党は2階の西側と、3階に飛び地の様に控室が2つある。さらに連立与党の一角である公明党も2階に控室を有している。
今回、維新が目をつけたのは、かつて「維新の党」時代に利用していた3階東側の部屋で、今は立憲民主党が控室として利用している。さらにその横には自民党が国会対策に使っている部屋が連なっており、この自民国対の一部の割当も狙おうという算段だ。希望通りの部屋が確保できるのかどうか...各党が顔をそろえる各派協議会などでその調整が進められた。
維新の控室面積は"約215平米"と3.5倍に
「満額回答だ」11月9日、調整をほぼ終えた維新の遠藤敬国対委員長は満足げに話した。上記の自民・国対部屋の一部、約60平米と立憲の控室103平米の割当を得たほか、国民の控室52平米も今の維新控室とバーターすることでほぼ合意したのだという。面積を計算すると、ざっと215平米となり、現在の62平米の約3.5倍となった。控室の割当でも第三党の"数の力"が示された形だ。臨時国会では、議員の給料である「歳費」の削減や特別委員会の廃止を訴える構えの維新。控室の広さに見合った活躍ができるかどうかが問われている。
毎日放送報道情報局 解説委員 三澤肇