5月17日の衆議院本会議。一連の議事を終えたところで「緊急動議」が提出された。
「ぎちょおぉぉぉ‥‥!!」
独特の節回しで議長に進行を促す“議事進行係”。この係は「大物議員への登竜門」とも言われており、今の岸田総理も若かりし頃、その役を担ったことがある。
現在は、当選4回の自民党・山田賢司衆議院議員が務めるが、コロナ禍の今、周りは飛沫拡散防止のアクリル板でかこまれており、もちろんマスクはしたままだ。おりしも、国民的関心事として「マスクをいつ外すのか」ということがクローズアップされる中だったが、この日も議事進行係の状況に全く変化はなかった。
不織布マスクでは「フカフカ」して大声を出しにくい
山田議員の事務所を訪ねて話を聞くと、コロナ禍の議事進行係には“人知れぬ悩み”があるのだという。
(議事進行係 山田賢司衆議院議員)
「『議長―』と、ひとこと言うだけならいいのですが、そのあと動議をしゃべらないといけないから、そうすると息継ぎをするとマスクがパカパカします。(Qパカパカすると?)喋りにくかったり、モゴモゴと声がこもったりしてしまいますので」
普通の不織布マスクでは、声を出すために息を吸ったり吐いたりすると、口の周辺にマスクが引っかかってしまい、思うような声が出せなかったりマスクがずれてしまったりするという。
ちなみに17日の動議は…「議長―!」「議事日程追加の緊急動議を提出いたします。議院運営委員長提出 国立国会図書館法等の一部を改正する法律案は委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みまぁーーーーーす」と、まさに舌を噛むような内容で、これを流れるように読み上げなければならない。
ちなみに「ぎちょおぉぉ…」は7秒、「望みまぁーーす」は5~6秒が定番と言われる。
支援者から送られた「お助けマスク」で改善
不織布マスクでは動議をうまく読み上げられない…そんな時、支援者から送られてきたマスクがその悩みを解決してくれたという。
(議事進行係 山田賢司衆議院議員)
「支援者が、こんなマスクを作ってこういう形で、(ワイヤーを耳に)ひっかけて、息を吸ってはいてもモゴモゴしないようなものを作ってくれました。(Q大声を出しても楽?)楽です。吸って吐いてのときもパカパカしないので、息が詰まったり口が閉じたりしない。裏の素材もPM2.5対応です」
鮮やかなブルーのマスクは、ワイヤーがふちに入っていて顔にフィットする上、顎にはかかっていないために適度なスペースがあり、口を自由に動かすことができ、声を出しやすいのだという。“お助けマスク”がまさに窮地を救ったともいえるが、マスクありの状況はまだ続きそうだ。
(議事進行係 山田賢司衆議院議員)
「(Qマスクがないほうが伝わりやすい?)ないにこしたことはないが、感染症対策をどう考えるかですね」
5月17日の本会議で無事「議事進行係」の大役を果たした山田議員には「よーし」とねぎらいの声がかけられた。世の中が「脱マスク」の時期を探る中、議事進行係がマスクを外すことができるのはいったい、いつになるのだろうか。