11月22日、衆議院会館のとある会議室はムンムンとした“熱気”に包まれていた。サウナ好きの国会議員約50人が参加する「超党派サウナ振興議員連盟」の旗揚げだ。

会長を務める自民党の武田良太衆院議員は「衆参の国会議員の方々は地元に帰って演説する時に、国家のため、地元のため、人々のため、命がけで…その後に決まってくるのが“汗をかいてまいります”という言葉がついてくるわけで…しっかり“汗をかきながら”仕事と共に両立していきたい」とサウナの普及を誓った。

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会長代行を務め、地元では軽トラに乗ってサウナ付き銭湯に通うという日本維新の会・遠藤敬衆院議員も「私は毎日1200円くらいのところに行っている、癖になるんですよね、サウナは。裸の付き合いはどうも親しみがわくというのか親近感が、一緒の仲間だと」。そしてこう付け加えた「女性も一緒に入っていただいて...サウナは別々だと思いますが、出た後の場で懇親を深めたい」と述べた。会場には数は少ないものの女性議員の姿もちらほら...サウナにはかなりのこだわりを持っているという。

大臣辞任後"人生どん底"から立ち直れたのは「サウナとランニングのおかげ」
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この日の会合にも出席した自民党の稲田朋美衆院議員は、自宅にサウナをわざわざ設置するほどの愛好家で、一畳ほどの広さのサウナにはストーブが置かれ、熱したストーンに水をかけ蒸気を発生させる本格的なスタイルだという。
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母親の影響もあり、サウナに入り始めたのは中学3年生のころ。今では朝5時台にランニングをした後サウナに入り、デトックス効果で集中力を高めた後、国会議員としての仕事をこなす。この「ランニング+サウナ」のコンビネーションが"格別"だという。

(稲田朋美衆院議員)
「防衛大臣を辞めてからやりだしたんですよ。あまりにも"人生どん底"だったから」

5年前に南スーダン日報問題で防衛大臣を辞任した後、身も心もボロボロで「うつ病」になりかけたというが、そのどん底から救ったのがサウナとランニングだった。稲田議員は「汗と共に嫌なことも全部忘れられる」と話すが、今では休みの日に3時間サウナに入ることもあり、その間に講演内容や政策などについても考える絶好の機会になっているという。一方、法律家の視点から、稲田議員は「サウナと公衆浴場の規制は本来違うはず。サウナは今や一つの成長産業であり、サウナに即した規制改革が必要だ」と話した。サウナ開業の根拠となる法律の一つが「公衆浴場法」だが、実は様々な問題点が指摘されており、特に最近ブームの「アウトドアサウナ」では、それが顕著だという。

北海道のアウトドアサウナ...冬には"氷に穴をあけて"つかることも
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議連の幹事を務める立憲民主党の石川香織衆院議員。北海道11区選出で、地元に戻った際は友人と共に月1回ほどのペースでサウナを楽しんでいるという。石川議員の地元は帯広市や十勝といった雄大な自然が売りの地域。アウトドアサウナも盛んで、石川議員自身、農家の人が趣味でやっているサウナに入ることもあると話す。

写真はトレーラーに設置されたロウリュサウナで、ストーブで熱したストーンに水をかけサウナを楽しんだあと、雄大な景色を見ながら冷えた外気でリラックスする。また、冬の期間はサウナで体を温めた後、凍った湖などに穴をあけてドボンと水につかる「アヴァント」にも挑戦した。「議員の仕事で疲れた後に、サウナに入って"ととのう"という意味がよく分かった」と話す石川議員だが、今の法律では、北海道の雄大な自然を活かしたサウナを楽しみにくいと指摘する。
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テントなどによるアウトドアサウナも公衆浴場法の適用を受けることになるのだが、その設備条件は極めて厳しく「男女別の更衣室」や「水着に着替えてトイレ」などが必要(日本サウナ学会)とされていて、数日のテントサウナイベントを開くには、法律はあまりにも厳しすぎるという。石川議員は「法律の不備を改め、北海道でのアウトドアサウナの普及に力を入れたい」と強調した。

日本の人口あたりの公衆サウナの数はフィンランドやドイツを抜いて世界最大規模(日本サウナ学会)で、ブームの到来でサウナの認知度も上昇しているという。今後、法律面を含めてサウナ普及の条件が"ととのう"には、超党派議連がしっかりと"汗をかく"必要がありそうだ。

毎日放送報道情報局 解説委員 三澤 肇