高校1年の15歳からバイトを始め、今年5月に“ココイチ”をフランチャイズ展開する会社の社長に22歳で抜擢された女性。なぜ新社長に選ばれたのか?話題の人物の素顔に迫るべく、MBSの山中真アナウンサーが本人に直接話を聞きました。

22歳で大抜擢の社長とは!?お店に会いに行きました

 就任したばかりの新社長と会えるということで、さっそくお店へ向かいました。お客さんでにぎわう店内にはいい香りが。制服姿で店に立つ女性に声をかけると…。

 (新社長)「いらっしゃいませ!こんにちは!」
 (山中アナ)「もしかして…?」
 (新社長)「はい、5月から社長に就任しました、諸沢莉乃です」

 諸沢莉乃さん、22歳。カレーハウスCoCo壱番屋をフランチャイズ展開する会社「スカイスクレイパー」の新社長です。

社長就任初日 新入社員らの前で語った意気込み

 5月1日、社長に就任した諸沢さん。スカイスクレイパーは東京や群馬など1都8県でココイチ25店舗などを運営し、年商は20億円あまりの会社。社員やアルバイトなど約400人の従業員を抱えています。

 就任初日、新入社員やアルバイトの前で初めての挨拶では、こう意気込みました。

 (諸沢莉乃社長)「やる気だけはあります。みなさんが大好きです。これからよろしくお願いします!」
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 そして社長になった翌日には、店舗に立って接客をしたり、仕込み作業をしたりしていました。社長なのに誰よりもてきぱきと店内を動き回ります。

 店を訪れたお客さんからはこんな声が聞かれました。

 (お客さん)「ニュースで知ったけど、まさかきょうここでその方が仕事されているとは思わなかったです。表情も豊かですし、抜擢された理由がこの辺にあるのかなと思いました」

「最初はわからないことだらけ…泣きながら会議に」

 高校1年でアルバイトを始め、たった7年で社長に。異例の大抜擢の舞台裏を聞いてみました。
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 (山中アナ)「どんな感じで言われたんですか」
 (諸沢社長)「次の社長をやってくれないか?みたいな。そんな堅苦しい感じでもなくて。面白いなって思いました」
 (山中アナ)「経営会議にも出ているんですね?」
 (諸沢社長)「最初はもうわからないことだらけで。泣きながら会議に出ていました」
 (山中アナ)「損益計算書とか?」
 (諸沢社長)「はい、もうそれで何回も泣きました」

高1でアルバイトを始めて…19歳で“接客スペシャリストの称号”を獲得!

 高校生ですでに会社のPR動画に抜擢されていた諸沢さん。高校1年のとき、自宅のポストに入っていた求人チラシを見て、横浜市内の店舗で働き始めました。すると、接客業の楽しさに夢中に。高校卒業後、大学には進まずにアルバイトを続け、19歳のときには全国の店舗から選ばれる接客スペシャリストの称号「接客スター」を最年少で獲得。そこで、人生の転機を迎えます。
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 (諸沢莉乃社長)「お祝いの席で打診をいただきました。楽しくなってわくわくして、私でよければ是非って」

会長に聞く「なぜ22歳のアルバイト従業員を新社長に?」

 諸沢さんに白羽の矢を立てたのは、スカイスクレイパーの創業者であり社長だった西牧大輔会長(54)です。

 (山中アナ)「なぜアルバイトの22歳の方に社長を継いでもらおうと思ったんですか?」
 (西牧会長)「社長になってもらいたい人の要素というか、必要条件を書き出したんですね。信用できるとかうちの会社が好きやとか、嘘つかへんとか、ちゃんと頑張って現場で仕事をしてくれるとか。ずっと書き出して考えたときにこの人の顔があったんです」
 (山中アナ)「それは若さとか、社員かアルバイトかとかは関係なかったんですか?」
 (西牧会長)「それは書き出したときに出てこなかったです。何歳以上とか男性女性とか、なかったんですよね」

 とはいえ、アルバイトだった諸沢さんに圧倒的に足りなかったのは会社経営に関する知識。
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 (諸沢莉乃社長)「売り上げ目標を決めたりとか、食材費はどれくらいに抑えなきゃいけないとか、どういうことをしていかなきゃいけないよねというのを、数字がぐちゃぐちゃいっぱいあって、うわーってなりました」

 時には悔し涙を流し、西牧会長から「足りないところは皆で補えばいい」と励まされて、2年間の社長修業を受けました。

 社長就任後も、制服を着て一緒に働き、現場の課題を把握したり、経営会議ではるか年上の幹部らと意見を交わしたりしています。

 そんな諸沢新社長の誕生はすでに社内に新しい風を吹かせているようです。

 (西牧会長)「新卒の女性が2人、研修が終わったときに『おめでとうございます』って何かお祝いでプレゼント、僕やったら焼肉連れて行くんですよ。彼女はまつ毛パーマでした。その発想はないですよね。おっさんがおっさんにバトンタッチしても、現場は喜ばないんです」
 (山中アナ)「焼き肉が焼き肉になるだけですもんね」
 (西牧会長)「そうそうそう」

周囲の『本音』と新社長の『目標』

 西牧会長のフォローは3年間だけ。その後は諸沢さんが1人で会社を率いていくといいます。この新社長人事を他の社員たちはどう感じているのでしょうか。

 (山中アナ)「今まではなんと呼んでいたんですか?」
 (広報担当の執行役員)「りのちゃん♪って。今は『社長』と…。ちょっと後悔しましたもん、今までの自分のふるまいを。わたし大丈夫だったかなと」
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 諸沢さんが憧れているという店長にも本音を聞いてみました。

 (山中アナ)「後輩が社長になってジェラシーはないですか?」
 (諸沢社長の先輩 松村店長)「ないですないです。一緒に育成ですとか、お店を盛り上げていく、会社を盛り上げていく、そういうところで一生懸命ついていきたいと思います」

 社長就任にワクワクしていたという諸沢さん。今後の目標は?
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 (諸沢莉乃社長)「諸沢が社長になったからこそガラっと変えるということは何も考えていなくて。やっぱり現場に入り続ける社長でいたいので、一緒に現場に入って一緒に汗をかいて、『きょうも頑張ったね』と言って。もう全員と働きたいです。ずっと人のために汗をかき続けていたい、これだけです」