ペットが死んだとき、家族と同じように弔いたいという人が増えています。そんな中で、ヘアメイクから転職して『ペット火葬』の会社「ハピネス」を立ち上げた森山友祐子さん。進化するサービスと、自身の経験を基に始めたというこの事業への想いを聞きました。
増えるペット火葬のニーズ
「お電話ありがとうございます。ペット火葬ハピネスと申します。料金のお問い合わせでございますね。ご連絡いただきまして、ありがとうございます」
電話相談を受けるペット火葬会社の在宅オペレーター。ひっきりなしに電話が鳴ります。全国からの問い合わせを1日3~4人のオペレーターが対応しています。
ペット火葬に関する相談は年々増加。2020年にサービスを始めたこの会社では、2020年の火葬の取り扱い件数は2314件でしたが、2023年は13858件で、3年で約6倍に伸びました。
代表を務めているのは森山友祐子さん、37歳。全国20か所以上の拠点で総勢約350人の社員を率いています。
(森山さん)「(Qペット火葬のニーズが伸びている?)間違いなく今後も大きくなっていく事業ではないかなと確信しています。いろいろな要因があるとは思うんですけれども、ワンちゃんも小型化して室内犬が増えていって、より本当に家族の一員として可愛がっているんじゃないかなっていうのは思います」
移動式火葬車で最期のお別れ
この日、ペット火葬の現場に同行させていただきました。やってきたのは兵庫・芦屋市内の駐車場です。死んでしまった猫のココちゃんの火葬が行われました。
「本当に楽しませてくれたっていうか、いい子でしたしね。足元に来てはニャンニャンっていう感じでした」
使われるのはバンの荷台に火葬炉を搭載した移動式火葬車。そばにお別れの花や大好きだったおやつを添えたり、お線香をあげたり、人間の火葬に近い流れで進められていきます。
「最期のお別れになりますので、最期のお言葉をかけてあげてください」
「はい。ココちゃん、ママのところ行きや」
火葬は約1時間。その後、遺骨は1つ1つ丁寧に骨壺に収められ、家族の手に渡されました。
「もうちょっとしたら寂しさでまた悲しくなってくるかもしれないんですけど、今はとっても本当にいい火葬をしてもらったな、よかったなと思っています」
扱うのは犬や猫だけではありません。依頼されたのはウサギのチップくん。食いしん坊だったことからたくさんのおやつを供えます。
「食べな、お腹いっぱいになるやろ、これでな、ちーちゃんな。バイバイ」
火葬は約2時間かけて終了。遺骨は崩れることもなくきれいに残りました。
「子どもが、自分が(遺骨を)大事に持っておくんやって言っているので、やっぱりそれだけ愛情を持って接してくれていたかなと思います」
微細な火力調整できるよう改良…様々な生き物の『遺骨』を残す
実はペット火葬で多いのが『遺骨が残らなかった』というトラブル。こちらの会社では、これまでメダカやチンアナゴ、ウーパールーパーの火葬を行ったこともあり、様々な生き物の遺骨が残せると注目を浴びています。
その秘密は約3年かけて改良したオリジナルの火葬車です。生き物のサイズに合わせて繊細な火力調整ができるようになっています。
(森山さん)「小さい動物でも、火葬するスタッフのある程度技術で、しっかり火葬中も目を離さずに火力調整などをしながらきっちり焼くことによって、しっかり骨を残すことができます」
実際に利用者からはこんな声がありました。
「メダカだからといってバカにせず扱ってくださってうれしかったです。一生手元に置きます」
ペット火葬会社を始めるきっかけとなった幼少期の経験
これまで一般的ではなかったペットの火葬サービスを始めた森山さん。総勢約350人の社員を率いていますが、元々はテレビ局で小さいころからの夢だったヘアメイクをしていました。どうして転職してまでペット火葬を始めたのでしょうか?
(森山さん)「小学生くらいのころに初めてネコちゃんを亡くしましたので、当時はちょっと学校を数日お休みいただいて、本当に学校にも習い事にも行けないような状況になりました。そういったときに、まだまだペットちゃんというのは最期のお見送りが、家族同然として生活してきたものの、市などにゴミのように扱われるという経験を経て、ペットちゃんも人に近いような火葬ができるようになればなということで」
これまで8匹の愛する猫を見送ってきた森山さん。その中で最期のお別れが雑に扱われた経験があったからこそ、今の仕事につながっているといいます。そんな森山さんの今後の目標は?
(森山さん)「ペット火葬だけに限らず、ペットちゃんの霊園だったり。目標というか夢ではあるんですけれども、ペット保護施設とか、ペットに関することをいっぱいいろいろしていきたいなというのは思っております」