東京や大阪などを対象とした3度目の緊急事態宣言に教育現場は今、揺れています。

「すごく不安」「どこまで児童が学習できるのかが心配」

4月20日、大阪市浪速区の大国小学校では教員らが緊急事態宣言の要請決定を伝えるニュースを固唾を飲んで見守っていました。

(教師)
「すごく、すごく、すごく不安です」

不安を隠せない先生たち。というのも、緊急事態宣言が出された場合に「小中学校は原則オンライン授業にしたい」との考えを4月19日に松井一郎市長が示していたからでした。
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大阪市立の小中学校では、今年3月までに1人1台タブレット端末が配られていますが、宣言発表が現実味を帯びる中で、急遽オンライン授業の準備に追われることになりました。
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何より心配なのが、本当に児童がオンライン授業で十分に学ぶことができるのか…ということ。

(教師)
「急遽、それぞれでやり方を随時習っていっているところですね。急に決まったことですし、どこまできちっと児童が学習できるのかが心配です」

去年の“宣言”では休校に

大国小学校では去年の今ごろも同じようにコロナに振り回されていました。安倍晋三前総理大臣は去年、全国の小中学校などに休校を要請。大阪市でも約3か月間、子どもたちは学校で授業を受けられない状態が続いたのです。その間の遅れを取り戻せるようにと、先生たちは休校中も課題プリント作りなど準備に追われました。

(教師 去年4月)
「授業の準備をして、ちょっとでも早く進められるようにしないといけないと思うので」

現在は…学校へ行くのは「個別登校」 給食は「黙食」で

あれから1年以上が経ちましたが、新型コロナウイルスで学校生活も大きく変わりました。以前は「集団登校」を行っていましたが、密を避けるために「個別登校」に切り替えました。
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給食も本当なら友達と話しながら食べたいはずですが、今は黙って食べる「黙食」です。

(児童)
「給食の時、しゃべられへんから嫌や」
「机をつなげることも無理なので、しゃべることが少なくなったから、ちょっとコロナが嫌になってきました」

黙食は4月に入学したばかりの1年生も同じです。本来なら何気ない会話をきっかけに仲良くなれるものですが、そうした時間も今はずいぶんと少なくなりました。
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ほかにも、暑い夏の楽しみといえばプールの授業ですが、大阪市の教育委員会は、水遊びなどを行う1年生から4年生は密になる可能性が高いとして、去年はプールでの授業を認めませんでした。今年がどうなるかはまだ決まっていません。

(児童)
「コロナでプールがなくなったのが嫌や」
「プールに入りたい」

それでも子どもたちは学校生活を楽しんでいます。

―――学校好きな人?
「はーい」
「大事な友達に会えなくなるのがとってもさびしいです」

「第4波」で部活動にも制限 それでも前向きに考える生徒たち

新型コロナウイルスの影響は部活動にも及んでいます。大阪市天王寺区の府立夕陽丘高校を取材しました。吹奏楽部は4月末に3年生の最後となる定期演奏会が迫っていましたが延期となりました。「第4波」の広がりを受け、大阪府が4月14日に府立高校などでの部活動を5月5日まで原則休止するよう求めたからでした。

(吹奏楽部の部長)
「悔しいとか残念という気持ちだけで終わらずに、その先に何かできることがあると思うので、それを全員で考えていけたらなと思います」
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一方で、公式戦を控える場合などに限り、土日では2~3時間、平日は1時間だけ練習が認められています。

(陸上ホッケー部のキャプテン)
「正直、原則禁止というのはきついなと思いましたが、1時間できるというのは逆に良かったかなと思っています。プラス思考に、1時間できることにも感謝しようという感じでチームには伝えてやっています」
(陸上部のキャプテン)
「気持ち的に切れないようにしていても、たまに切れてしまいそうになることはありますが、できることはしっかりとして最後は悔いの残らないように頑張りたいと思っています」

校長「何も知らされていないところで話が進んでいる」

大国小学校がオンライン授業の実施に向けて四苦八苦していたところ、また新たな情報が4月21日になって入ってきました。

(大阪市 松井一郎市長 4月21日)
「学校は開いているんです、基本。給食もやります。子どもたちの学ぶ権利を確保したうえで、ありとあらゆるニーズに対応していこうと。その1つがオンラインということです」
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現場からの意見などを受け、松井市長はオンライン授業と対面授業を組み合わせる考えに方針転換しました。小学校については原則、2時間目まで自宅でオンライン授業を受けてから登校。3・4時間目は対面授業を行い、給食を食べます。その後は再び自宅に戻ってオンラインで学習するというスケジュールです。教師は、オンライン授業だけでなく、さまざまな準備をする必要があり、教師の負担はさらに増えるとみられます。
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オンラインへ移行する準備期間もなく、現場が振り回され続ける現状に、大国小学校の校長は憤りを隠せません。

(大国小学校 岡田治美校長 4月21日)
「何も知らされていないところで話が進んでいることが問題。実際に運用するのは誰なんですかという話。子どもも保護者も決して不安にさせない。それが学校を預かるものとしての使命だと思っています。そこに全力を傾けていきたいなと。ですから早く全容が知りたい」

3度目の緊急事態宣言に対して、学校現場は不安を抱えています。