岐阜県岐南町の小島英雄町長は町の第三者委員会による調査で女性職員などへ少なくとも99の行為がセクハラなどと認定され、2月27日に調査結果が公表されました。29日午前、町長は3月5日付での辞職届を提出したということです。

第三者委の調査結果では、女性職員の「頭をポンポンと触る」行為、「子どもはまだ作らんのか」などの不快な発言などの行為が不適切な行為と認定。日本ハラスメント協会の村嵜要理事はこうした行為は「体に触れているので当然不快に思う人がほとんど」「本人が不快でなくても環境的に見せるのはよくない」などと指摘しました。

また、被害に遭った際には「物理的に距離をとる」「記録を詳細に残す」ことなどが大切だと話します。一方で「加害者」にならないためには「相手の反応をちゃんと見て失言はすぐに謝る」「受け取り側が好意を持っているからOKではない」などと認識することが大事だと話します。

ハラスメントなど99の不適切行為 町長「もう少し丁寧な調査あってもいいのでは」

ーー岐阜県の岐南町の小島英雄町長(74)は第三者委員会の調査報告書では99の不適切行為が認定され、セクハラだけではなく、「クビやぞ」「解散」などの発言がパワハラに認定。これに対して町長は「報告書は中立性に欠いている」「もう少し丁寧な調査があってもいいのでは」と主張しています。聞き取りが2時間半しかなかったので、それでは足りないんじゃないかという主張ですがどう思われますか?

「うちの協会で調査する場合は、パワハラとかセクハラを指摘された行為者に対して最大2時間以内の調査をしています。パワハラやセクハラの項目が多い方でも大体30項目ぐらいですね。となると、今回の99項目というのは2時間弱で、聞き取りできるのかなというところは少し疑問に思うところです」

最多は“頭をポンポン”「不快に思う人がほとんど」

ーーセクハラ・パワハラの内容で一番多かったのが『頭をポンポンとする』これが33項目ありました。「残業時」、「町長室に入った時」に頭をポンポンするというものです。このうち「町長室での打ち合わせ中…『大変やな』とポンポンする」行為について町長は認めていますが、その点はいかがでしょうか?

「上から目線というところはすごくあるなと、なおかつ頭という身体に触れているので、当然、不快に思う人がほとんどですし、本人がたとえ不快に思っていなくても、周囲の方に環境的に見せるのはよくないことになりますね」

「これぐらいだったら…セクハラへの認識甘かったのでは」

ーーまた他に「手相を見たる」と手を触る、「太ももに手を置かれた」「熱あるんかとおでこを触る」など体を触られるのは拒否感があると思うのですが?

(REINAさん)「そうですね、私だったら普通に拒否感ありますし。町長の説明を聞いていると本当の意図は何だったのかがわからないです。もしかしたら良かれと思ってのような、善意や好意を示すための行動だったんだよという理由なのであれば、本人は絶対にこうした行為がセクハラに当たると認識できないなというのは感じましたね」

(村嵜さん)「おっしゃられた通り喜ぶだろうという上から目線なところもありますし、おそらく町長が自分の中でこれぐらいだったらセクハラに当たらないだろうという認識が甘いのかなと思いますね」

「個人的に『LINEの連絡先』教えろ」も認定「執拗に迫ったらセクハラ認定されやすい」

ーーまた今回は「個人的に昼食に誘われる」「下の名前で呼ばれる」「個人的にLINEを教えろ」というのもハラスメント認定されました。

「(LINEの連絡先を聞くのは)すごく微妙なところなんですが、例えば、仮に1回拒否したにも関わらず執拗に迫るとなると頻度がすごくあるので、セクハラに認定されやすいのはあります。1回だけだと正直セクハラ認定する判断はすごく微妙です」

ーーハラスメント被害を受けたらどうしたらいいのでしょうか。村嵜さんによりますと、「はっきり断る」「物理的に距離を取る」、そして「記録を詳細に残す」ということですが、これはどういうことですか?

「これはセクハラされたと思った一連の出来事をメモを繰り返ししていくことです。すぐに相談窓口などを利用することがなかったとしても、いずれ声を上げていこうとしたときにまとめて報告することもできます。例えば、パワハラやセクハラする人は基本『否定』『反論』『認めない』と思うのですが、仮に全部認めなかったとしても、詳細に記録を残すことで、信憑性が高くなってくる判断ができるので、総合的な判断としてセクハラ認定するのが妥当だという一つの判定もできますね。録音があれば一番いいですが、もし録音が難しい方はメモでも大丈夫です」

 加害者にならないためには村嵜さんによりますと、「上司から部下にプライベートの話をしない」「相手の反応をちゃんと見る」、「失言はすぐにすいませんと謝る」「受け取り側が好意を持っているからOKではありません」ということを覚えておいていただきたいということです。