週末のJリーグは、早くも関西の両雄が激突。開幕2連勝中の「ヴィッセル神戸」が名門復活に向けて力強い歩みを見せている「ガンバ大阪」を迎え撃つ。

 「このチームにすべてをささげたい」2月4日、リーグ開幕を2週間後に控えたJ3「松本山雅」とのプレシーズンマッチで2ゴールを奪ったヴィッセル神戸の大迫勇也選手が、試合後のインタビューでこう答えた。

 奇しくもその2日前、同じ言葉を口にした選手がいた。今シーズン、ガンバ大阪から神戸に移籍してきた齊藤未月選手だ。

 2人の選手が今シーズンにかける思いを語ったヴィッセル神戸は開幕戦、チーム一丸となってその思いを体現した。

 けがや手術の影響で、イニエスタ選手や菊池流帆選手といった主力の調整が遅れる中、直前練習でディフェンスの選手にアクシデントが続出。

 齊藤選手が、初めてというアンカーの位置に入り、「京都サンガ」から移籍の本多勇喜選手が、急遽センターバックに入る緊急布陣の中で「アビスパ福岡」とのしびれるような展開を我慢強く闘い抜いた。

 「昨年の終盤、5連勝で残留争いを抜け出した経験から、我慢強く戦えば、うちの攻撃陣は必ず点を取ってくれると信じていた」と、酒井高徳選手が語ったように、全員がそれぞれのタスクを果たしながら最後までハードワーク。新戦力のジェアン・パトリッキ選手が奪った1点を守りきった。

 続く「北海道コンサドーレ札幌」とのアウェーゲームは、「心身ともリフレッシュして、キャンプからいい状態を維持できている」と語るエース大迫選手の鮮やかな一発で先制すると、佐々木大樹選手、山口蛍選手とヴィッセルの誇るタレント陣がゴールを奪って快勝。6年ぶりの開幕2連勝で、ホームに戻ってきた。

 ガンバ戦を前に、吉田孝行監督は「けが人も(徐々に)戻ってきて、チーム力は上がっている。ガンバは組織だけじゃなくて、個も優れた選手が多いので、しっかりと対策しないといけないが、ガンバの強度に対するイメージは、チーム全体として、(どう対応するか)共有できている」と、自信をのぞかせる。

 その上で、「勝っているからOKではなく、勝ちながらも修正していくことが大事。いい緊張感を忘れないで、次のガンバもやらないといけない」と思いを口にした。

 一方のガンバは、内容的には手ごたえを感じさせながらも、追いつかれる展開で2試合連続の引き分け。その要因を、ホーム開幕戦でパナスタ初ゴールを決めた鈴木武蔵選手が語った。

 「昨年、残留争いに巻きこまれた経験から、どうしてもリードすると受けてしまう。上を目指すなら2点、3点と、奪うことを意識しないといけない。それだけの力はある。そこさえ変えれば、もっともっと強いガンバを見せることが出来るし、成長できると思う」

 昨シーズンの経験から、我慢強く闘うことで勝利を積み重ねたヴィッセル神戸。昨シーズンまでの幻影を振り払うことで、攻撃的に生まれ変わろうとしているガンバ大阪。4日の『阪神ダービー』が、待ち遠しい。