バスケットボールのB.LEAGUE。B1残留争いが熾烈を極めている。24チームのうち、下位2チームが自動降格となる今シーズン、先週末の日曜日、残り3試合の時点で、22位の富山グラウジーズが13勝。23位の滋賀レイクスも13勝。24位の新潟アルビレックスBBが12勝。残り一つで最後のB1の席をどのチームが守り切るのか、混沌とする中で、それぞれが重要な一戦を迎えた。
去年の優勝チームと激しく争う
この日、滋賀レイクスはホーム最終戦。「滋賀一丸」のレイクスブルーのTシャツを身にまとったブースターが、会場を埋め尽くした。相手は、昨年のリーグチャンピオン、田臥勇太選手や、比江島慎選手などが所属する強豪、宇都宮ブレックス。
試合は、開始早々から、強力な大型外国人選手を擁するブレックスが中央を確実に支配して、得点を積み重ねていく。立て続けに7点を連取、そのまま大きくリードを奪った。
しかし、レイクスも「GO!GO! レイクス!」と叫ぶ、ブースターの大声援を背に反撃、終盤に18番のデクアン・ジョーンズ選手や、32番の狩野祐介選手が、難しい3Pシュートを決めて、18対20と2点差まで詰め寄って、第1クオーターを終了する。
第2クオーターに入ると、ブレックスの中央のディフェンスが、さらに激しさを増して、なかなか有効な攻撃を見いだせないレイクス。それでも、25番のイヴァン・ブバ選手を中心にゴール下の激しい肉弾戦で奮闘。粘り強く食らいついていく。
しかし、そのブバ選手にアクシデント。前半終了間際に不安を抱えていた膝を痛めて交代。33対39の6点差で折り返した。
迎えた第3クオーターは、レイクスが打開策を試みる。ダビー・ゴメスヘッドコーチが、「宇都宮は、リーグで一番のスローなペースが持ち味のチーム。それをさせないように、早い展開にもっていくプランだった。」と語ったように、ゆっくりとしたペースで試合を進めようとするブレックスに対して、リスク覚悟で前からディフェンスを仕掛けていく、スピーディーなバスケットで勝負。
前半は、なかなか決まらなかったブレックスの3Pシュートが決まりだしたことで、逆にオープンな展開となり、レイクスの時間帯が増えていく。流れの中で、9番の杉浦佑成選手の3Pシュートや、デクアン・ジョーンズ選手の速攻が炸裂。6分過ぎには、主将のひとり15番のキーファー・ラベナ選手がディープスリーを決めて、51対54、ついに3点差に詰め寄った。
しかし、さすがに、昨年のチャンピオンチーム・ブレックス。タイムアウトで落ち着きを取り戻すと、再び我慢強く、自分たちの強みを生かした戦いを繰り広げていく。圧倒的に優位に立つリバウンドを軸に、第3クオーター終盤で、リードを12点に拡げると、第4クオーターも、うまく時間を使いながら、ロースコアーの展開に持ち込んで、そのまま押し切った。
レイクスも、終盤、日本代表にも選出されている7番のテーブス海を中心に最後まであきらめない攻撃的な姿勢を見せたが、力及ばず68対81でゲームセット。13勝のまま、いよいよ最終節、京都ハンナリーズとの京滋ダービーを迎えることとなった。
残留を争うライバル、「富山グラウジーズ」は、川崎ブレイブサンダースに敗れて、13勝のまま、新潟アルビレックスBBは、三遠ネオフェニックスに快勝した。この結果、3チームが13勝で並ぶ、未曽有の大混戦となった。
試合後、テーブス海選手は、「たくさんの熱い応援、本当にありがたかった。勝たないといけない試合で(敗れて)悔しい。京都戦は、大事なところで、責任感を持って、必ず(得点を)決めたい。」
主将のひとり柏倉哲平選手は、「(ブースターの皆様に)最高のホームアリーナをつくっていただき、本当にありがたかった。(京都戦も)、最後まで一緒に戦ってください」と語った。
滋賀県には、さまざまな競技のスポーツチームが存在するが、実はレイクスが、滋賀県にとって、唯一のトップカテゴリーに所属するプロチームだ。それだけに、地元の期待も大きい。4010人が詰めかけ、アリーナを満員にした「滋賀一丸」の思いが通じるのか、文字どおりのサバイバルマッチが、今週末待ち受けている。
《現在の順位と最終節の対戦相手》
22位 滋賀レイクス (アウエー) 対戦相手 京都ハンナリーズ
23位 富山グラウジーズ(アウエー) 対戦相手 横浜ビー・コルセアーズ
24位 新潟アルビレックスBB(ホーム) 対戦相手 信州ブレイブウオーリアーズ
《滋賀レイクスの残留条件》
◎勝率(勝利数) で2チームを上回った場合
◎勝率(勝利数)で並んだ場合
3チームが並んだ場合は、滋賀残留
新潟のみと並んだ場合は、滋賀残留
富山のみと並んだ場合は、リーグ戦全試合の得失点差で決定
(注 順位は勝率(勝ち数)、勝ち数で並んだ場合 当該チーム同士の成績で決定)
MBSスポーツ解説委員 宮前 徳弘