交流戦から1軍に昇格した阪神・前川右京(20)。6月6日(火)の楽天戦でプロ初ヒットを放つと、3番スタメンに抜擢された翌日の試合ではプロ初のマルチヒットを記録。さらに9日(金)の日本ハム戦ではプロ初の長打となったレフトフェンス直撃の二塁打を含むマルチヒット、10日(土)にはプロ初タイムリー。そして11日(日)にはプロ初の三塁打でチャンスを作り決勝点となるホームを踏むなど、今季初の3連敗を喫し嫌な空気が漂っていたチームを救う活躍を見せた。
まだ高卒2年目の二十歳とは思えない活躍を見せる前川。だが、1軍初昇格即スタメンとなった5月30日(火)の試合では3打数無安打。翌日の試合では3三振に倒れ、再三の好機を生かすことができず、ファームで3割超えの打率を記録して5月の月間MVP(ファーム)を受賞した男でさえも、「1軍の壁」に苦しんでいるように見えた。しかし、1軍での11打席目にプロ初ヒットが生まれると、そこから出場5試合連続でヒットを放ってみせた。
一体何が変わったのか?MBSテレビ「グッジョブ!」の10日朝7時の生放送で、ミスタータイガース掛布雅之氏がその真相を解説した。掛布氏は前川のバッティングについて「頭が突っ込まなくなった。ヒットが出る前は上体(主導)でバッティングをしていたが、1本のヒットが出たことによって、下半身(主導)でやるバッティングが自分なりにわかってきた」と分析し、実演を交えながら次のように説明した。
(掛布雅之氏)
「上体が突っ込んでしまうとバットが通る道を自分の頭で塞いでしまうのでバットが出てこない。頭を残して下半身リードの形ができればバットが通る道ができる。頭を残すことでスペースを作ってバットを体の前に通すことができる」
初ヒットを記録するまでの10打席は、速いストレートに差し込まれることや低めの変化球に手を出して空振りをするケースが多く見られた。ともすれば、初ヒット以来、出場試合で連続安打を記録するようになった要因の1つが「頭が突っ込まなくなった」ことであることは自ずと納得できる。
首位を走るチームの起爆剤になっているニューホープ。掛布氏は「後半戦で面白い存在になる」と前川に期待を寄せる。まずは、掛布氏が今の前川と同じ高卒2年目で記録した9試合連続安打を超えることができるのか。ミスタータイガースと共に今後も前川に注目していきたい。