オリックスからドラフト4位指名された報徳学園・堀柊那(しゅうな)選手(18)が13日、契約金4000万円・年俸500万円(金額はいずれも推定)で仮契約を結んだ。名門のキャプテンとしてチームを引っ張った強肩キャッチャー。誰からも愛される、家族思いな金の卵がプロの世界でも活躍を誓った。

アピールポイントは“セカンド送球”

 今春の第95回記念選抜高等学校野球大会で、チームは準優勝。自身も主将として名門を引っ張った。そんな彼の名が一躍全国に知れ渡ったのは準決勝・大阪桐蔭戦。8回表に矢のようなセカンド送球で1塁走者を悠々アウトに。マウンド上のピッチャーも這いつくばって送球をよけるほどのスローイングだった。

「自分のアピールポイントである肩をすごく評価してもらったので、ケガなく、もっともっとそこ(スローイング)を磨いていきながら、バッティングだったり走塁を磨いていけたらなと思います。」

 プロ入り後も自身のストロングポイントである「肩」をアピールし、早期の1軍定着を目標に掲げた堀は、少し天然なところも・・・

家族思いな天然愛されキャラ

 10月26日。ドラフト指名直後に開かれた会見で記者から「パ・リーグで対戦してみたいピッチャーは?」と問われると、隣にいた報徳学園・大角健二監督に「パ・リーグって、オリックスがある方ですか?」と確認したうえで「(ソフトバンク)柳田選手です!」と答えた逸材。この日は仮契約後の会見に備え、事前に問答を「入念に準備してきた」が、不安になると会見を後ろで見守っていた両親の方をチラチラ。父・一也(かずや)さんと母・悠(はるか)さんの温かい眼差しに見守られながら、無事会見を終えた。そんな一也さんは

「まだ、夢の中にいるみたい。プロ入りは柊那の夢やったからね。本当にうれしい。オリックスさんのユニフォームも似合っとったね。夙川ボーイズの時は紺色、報徳の時はクリーム色に緑のユニフォームやったから。白色のユニフォーム姿は初めてやったけど似合っとった」と心から息子の晴れ姿を喜んでいた。

 神戸市・須磨区で漁を営む一也さん。近年は不漁が続き、祖父の代から続いた漁師の家系も、「継がせる気?無い。苦労するからね、絶対に。」と、自分の代で終わらせることを早くから決めていた。だからこそ、ドラフト指名された時の喜びはひとしおだった。

「ほんまに良かった。(息子は)ちょっとだけ立派になったかな。少し親孝行してもらわんと(笑)」

 プロ野球の世界は、どんな世界なのか。父親の一也さん自身もドラフト指名後から、「まったく実感が湧かなかった」が、仮契約のこの日、福良GMや担当の下山スカウトと対面。「オリックスさんのスカウトさん含め、みなさん本当にフレンドリーで良いチームに恵まれた」と、一安心の様子だった。

今も昔も変わらない目標

 父の釣って帰るタコのバター醬油炒めが大好きな堀。早朝から漁にでて、自分の野球道具も揃えてくれた父のためにも“プロ野球選手”を目標に掲げ練習に打ち込んできた。

 先述のセンバツ前、当時高校2年生だった堀に「将来の目標」を問うと、こう答えた。

「プロ野球選手になって、早く一軍で活躍して、親孝行したい」

 そこからセンバツで活躍し、見事にプロ野球選手になるという夢を達成。プロの世界に一歩足を踏み入れたこの日、改めて「将来」について問うと

「一日でも早く試合にでて活躍できるような選手になれるように頑張りたいです」

“一軍の舞台”

 一歩ずつ、地道に階段を登ってきた堀の気持ちは今も昔も変わらない。

「早く一軍で活躍して親孝行したい」
「一日でも早く試合に出たい」

支えてくれた両親のため、次は自分が恩返しをするー
家族思いな強肩キャッチャーは飛躍を誓った。

◎堀柊那(ほりしゅうな)18歳。2005年 7月16日生まれ。
179センチ 82キロ。“堀キャノン”と称されるセカンド送球が魅力で、2塁到達までのスピードはコンスタントに1・8秒台を記録。
直近の不安は「(11月)30日の新入団会見でうまく質問に答えられるかな」

MBSスポーツ部・谷崚登